雪のとなりに、春。

「上の大学目指すなら、ね」

「っ」


ああもう。
なんでそうやっていつも優しく私に合わせてくれるの。


「じゃあ先輩の今の目標は、とりあえず学力をいけるところまで上げるってことでいいわけ?」

「うん!! 私頑張るよ!! 少しでも雪杜くんに近づきたいからね!!」

「またそれ? ……まあでも、勉強するなら付き合うよ」

「本当!? また雪杜くんの家にお邪魔してもいいの!?」

「それはしばらく待って」

「ええ……」


お泊まりさせてくれたから、すっかり気軽に通ってもいいものだと思い込んでしまっていたけど、やっぱりまだだめのようです。

そういえば、環くんが雪杜くんの付き合いが悪いと言っていたけれど、結局その理由はまだ教えてもらっていない。

もしかしなくとも、奏雨ちゃんのことと何か関係あるのかな?


「雪杜くん、私が雪杜くんの家に行っちゃ行けない理由って……」

「……ちょっと、その辺についてはもう少し整理がついてから話したい」


雪杜くんの表情が曇ってしまった。
やっぱり、奏雨ちゃんのことと関係があるんだ。

もしかして、奏雨ちゃんが雪杜くんの家に頻繁に来てるとか……?
それとも、こっちの高校に来たことによって住むところに困って、雪杜くんと同棲することに……とか?

奏雨ちゃんは雪杜くんの従妹だ。
そういう関係じゃないと雪杜くん本人も言ってくれている。

……何も心配することなんてないよね。