雪のとなりに、春。

「朝、タマキ先輩からメッセージ来た。奏雨が先輩の教室の前に来てるって」

「……」

「でも俺今日日直で、いろいろやることあって来るの遅くなった」


ごめんね、と悲しい表情になる。
そして、上目遣いで私を見たと思ったら、雪杜くんの手がそっと私の方に伸びてきた。


「奏雨に、何か言われた?」

「……」


伸びてきた手は、私の頭にぽんっと乗せられて。
そのままよしよしと優しく撫でてくれた。


「雪杜くん、私……すごく嫌な人間だった」

「は?」


ぴたっと、頭を撫でてくれていた手が止まる。


「私、人の為とか思って行動してたつもりだったけど、本当は全部自分の為だった……」


そもそも私が人の助けになりたい、できることをしたいと思うようになったのは、相手から嫌われたくないからだ。
人助けをして、いい気持ちになって、そうして自己満足。
相手のことを考えている振りをして結局は自分を守ってた。


「……自己満足のために、奏雨ちゃんのこと傷つけちゃった」


なんて無神経。
なんて、残酷。

自分が最低すぎて、涙を流すことすらできない。