『俺だけにくれるわがままなら全部愛しいし、先輩からの迷惑は迷惑にならない』


雪杜くんと恋人になれた日に言われた言葉を思い出す。

言われたときはあまりにもかっこよくて実感するのが遅くなってしまったけれど、思えばこの言葉に自分がどれだけ安心していただろう。

甘えることとわがままは違うと思うし、でもその線引きは私にとって難しい。

そんな時雪杜くんは繰り返しこの言葉を私にくれるから、それ以上迷うことなく飛び込んでいけるんだ。


「大好き」


『大好き』

この気持ちが大きく更新された1日だった。

……けど、少しだけ怖くもなった。


雪杜くんがどんどん遠くに行ってしまいそうで。

どんなに頑張っても、届かない所に行ってしまいそうで。


きっとそうなったら、雪杜くんは立ち止まって私のことを待っててくれるんだろう。
ひどいときは「しかたないなあ」と文句を言いながら迎えに来てくれるんだろう。

それは嬉しい。本当に嬉しいし、大好きだって思うよ。


だけどそれはつまり、私が雪杜くんの歩みを止めてしまっているってこと……だよね。

いつまで、その優しさに甘えてもいいの?


雪杜くん。

雪杜くん。


「あんまり先に行かないで……」