雪のとなりに、春。

そのおかげかもしれないけど、悲しいとかびっくりとかそう言う気持ちよりも、雪杜くんのことを知ることができて嬉しいと思ったし、彼に親族がいてほっとした。

そう感じることができる余裕を持たせてくれたのは、他でもない私の大好きな人の言葉。


「……」


本当は、話してくれるまで待つべきなんだろうけど。

うん、寝る前に聞いてみよう。
今日みたいにゆっくり2人で話せる時なんてあんまりないわけだし。

……そういう雰囲気になったら、また今度、聞くことにして。


「……う」


まずい、また緊張してきた。
キス以上のこと、するのかな……?

お風呂から出て、家から持ってきた部屋着に着替えてから、雪杜くんのいるリビングに向かう。

そっとドアを開けると、雪杜くんは相変わらず医学書を読んでいた。
すぐ近くには、2年生の教科書が積まれている。


「お風呂、ありがとうございました……」


お勉強中に声をかけることに若干の罪悪感。
でも、こっちを振り向いた表情でそれは一瞬で吹き飛んだ。


「うん、おかえり」

「たっ、ただいま……!?」


反射的に返事をすると柔らかく笑って、立ち上がった。