雪のとなりに、春。

おいしい唐揚げを堪能して、それから2人で後片付けをした。

少しゆっくりしたあと、雪杜くんのお言葉に甘えて先にお風呂をいただいて。

キスのことを思い出して広すぎる湯船に顔をつけてボコボコ。
あれだけしたいと思っていたキスだけで、あんなに大変なことになるとは思っていなかった。

この先……キス以上のことなんてできるのかな……!?


「……うう」


色っぽい雪杜くんの表情、熱を帯びて甘く響く声。

……ちょっと待って。
ちょっと待ってくれないか。

先に大人になるのは私のはずなのに、なんでこんな、置いて行かれてる感がすごいんだろう。

うーんと足を目一杯伸ばす。
まだスペースがあることにびっくりだ。私の足が短いわけじゃなくて、お風呂が大きいだけ。

お風呂だけじゃない。玄関も、廊下も、リビングもキッチンも、全部広い。
こんなに広い家で1人暮らしていると、みんなああやって余裕が出てくるものなのかな。


「……手料理、久しぶりって言ってたなあ……」


そろそろ聞いてもいいのかな。
奏雨ちゃんのこともそうだけど、私は雪杜くんの家の事情とか全然知らない。

今日お父さんとお母さんと雪杜くんと4人で話しながら思った。

ああやって雪杜くんは私の両親と何度も会っているのに、私は一度も雪杜くんの家族に会ったことがない。

だからかもしれないけど、奏雨ちゃんが雪杜くんの従妹だと聞いてちょっと嬉しくなった。
もちろんびっくりもした。

登場の仕方からかけられた言葉から、色々衝撃を受けたのは本当。

婚約者っていうのも、雪杜くんがすぐに否定してくれたから。

雪杜くんが違うと言うのだから、そうなんだって。
雪杜くんがただの従妹だと言うのだから、そうなんだって。