雪のとなりに、春。

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予定時間を10分オーバーして、唐揚げ作りに取りかかった。
思ったよりキレイに揚げることができて個人的には大満足だ。

お皿に盛り付けて、テーブルに運んでいく。
雪杜くんもご飯や箸を運んでくれた。

……本当に夫婦になったみたいで、油断していると口元がだらしなく緩みそうになる。


「……」


さっきまであんなに大人っぽい色気を出していたとは思えないくらい、キラッキラに輝く瞳で唐揚げを見つめている雪杜くん。


「ふふ、早く食べよ？」

「……い、いただきます」


カリッといい音を立てたあと、もぐもぐ。
ごくんと飲み込むまで、いや飲み込んだ後も雪杜くんの目はキラッキラだ。


「おいしい」

「ほんと？　よかったあ」

「ほんとにおいしい、誰かの手料理とか本当に久しぶり」


やっと唐揚げから外れた視線が、私を見る。


「ありがとう、花暖先輩」

「ん゛」


子供みたいに無邪気な笑顔がすさまじい輝きを放ってきて、声にならない声が漏れた。

がんばって作ってよかったな。
ゆめちゃんみたいに、これからもお邪魔してご飯を作って一緒に食べる時間があってもいいかもしれない。