雪のとなりに、春。

「先輩、口あけて」

「えっ? ど、どれくらい……っ!?」

「それくらい」


星空の下での初めてのキスと全然違う。

甘くて、体がジーンとして、それこそ頭の芯までどうにかなりそうで。

息が苦しくて、わずかな隙間を見つけて酸素を……と思っても、雪杜くんはそれをお見通しと言わんばかりに塞いでくる。

途中鼻で息をするという名案が浮かんだけど、これが難しくてなかなか上手くできな……。


「ねえ」

「はい……っ!?」


突然唇が離されて、夢から覚めたみたいな感覚に目を大きく開く。
ちょっと不機嫌そうな雪杜くんと目が合った。


「余計なこと考えてるでしょ」

「え、」

「自分がしたいって言ったんだから、ちゃんと集中して」

「はい、っん」


そんな、食べるみたいなキスも初めて。
全部初めて。

それは雪杜くんも一緒のはずなのに、なんでこんなに余裕なの?


「集中してって言ったよね」


はい、ごめんなさい。
というか主に考えるのは雪杜くんのことなんだから、そんなに不機嫌にならないで。