雪のとなりに、春。

雪杜くんは肘をついてゆっくりと上体を起こす。


「……あれ、何分浸けるの?」

「15分くらいの予定だった、けど……」


息がかかる。


「20分でもいい?」


淡い青色の前髪が目にかかったのを理由に、瞼を閉じる。
雪杜くんの質問に頷いたと同時に、軽く唇が触れた。


「っ」


びっくりして目を開けると、紺色の瞳と視線がぶつかって。
惜しむように離れたあとにそっと後頭部に手が回される。


「ん……っ」


今度は、奪うように深く重ねられて、思わず声が漏れた。
あれだけ望んでいた雪杜くんとのキスなのに、いざとなると緊張と恥ずかしさで体がカチコチになってしまう。


「は、ぅあっ!?」


離れた瞬間、止めていた息を精一杯吸い込もうとしたのに。
突然雪杜くんに抱きかかえられるから、見事に変な声が出た。

何か言ったらこの時間が一瞬で壊れてしまいそうで、大人しくつかまっていると。

近くにあったソファーに優しく下ろされた。

そのまま覆い被さるようにしてキスが降ってくる。