「…………」

「う、わっ!?」


唐突に雪杜くんの腕をぎゅっと抱きしめる。
……うん、腕の感触も前よりごつごつっとしてて、なんていうか……


「な、急にどうしたの!?」

「……雪杜くん、大人だなと思って」

「は???」


ずるいよ。

自分ばっかり先に大人にならないでよ。

私だって誕生日が来たら大人の仲間入りになるわけだけど、
私の方が先輩なのにどんどん追い越されて、気付けばずっと先まで歩いて行ってしまうんじゃないかって。

……ふと、そんな寂しさと不安に駆られる。

だからぎゅってしたんだよ?
とてもとてもかっこわるいので、雪杜くんには絶対言わないけどねっ!!


「ちょっと、歩きにくいから離れて」

「うう~……本当はもっとぎゅうってしたいのに」

「普通にダメ。公共の場だし」

「じゃあキスして」

「な……っ、ひっ、人の話聞いてた!?」


べりっと引きはがされながらも、口をとがらせてわがままを言ってみる。

案の定雪杜くんは顔を真っ赤にしてしまって、それから手の甲で口元を隠した。