雪のとなりに、春。

「そんな、不安そうにしなくても引いてないから安心して」


そういうのも全部分かってくれてる君になら伝えようと頑張れる。


「俺だけにくれるわがままなら全部愛しいって、言ったでしょ」


伝えた後にどんなに不安に襲われても、すぐに安心させてくれるとわかるから。


「……やっぱり、すごいのは雪杜くんだよ」

「急に何?」

「ううん、大好きだなって思っただけ!!」


もう一度ぎゅっとする。


「ねえ、本当に何もないけどいいの?」

「雪杜くんがいればそれでいいの!!」

「……いやさすがに……あ」


何かを思いついたかのような声に、私は頭上を見上げた。


「先輩、買い物行こう」

「お買い物?」

「うん、本当に何もないから」


すがすがしい顔で「何もない」と言ってのけているけど、普段どんな生活をしているんだろう……。
でも、そんな雪杜くんの謎に包まれた生活に密着できるんだと思うとわくわくしてくる。


「どっちみち一度帰るでしょ? さすがに先輩のご両親に何も言わずに泊めることはできないから俺も挨拶しに行くし、そのついで。何もないし」

「うん!! お母さん、雪杜くんに会いたがってたから喜ぶと思う!!」