雪のとなりに、春。

スクラブ姿の雪杜くんのお父様と、その隣に白衣のお医者さん。
その前で、男性が床に座り込んでいて。小柄の男の人がその人を支えるように肩に手を回していた。

そのずっと手前。

皐月さんと、大好きな雪杜くんの背中。


「か、カノちゃん!?」


気付いたときにはもう、走り出していた。

絶対絶対、声の方が早く届くのに。
君を見るとどうしたって体が先に動くんだ。

後ろから飛びついたことなんてなかったかもしれない。
走りながら、そんなことを思った。

だって、全然気付いてくれないんだもの。


「雪杜くんっ!!」


名前を呼んでやっと、こっちを振り返ってくれた。

それを合図に、私は床を蹴りつけるようにして飛び上がる。
そこからの景色はスローモーションみたいにゆっくり流れた。

こうして抱きつくことはすごく久しぶりだけど、咄嗟に手を広げてくれるところも、すぐに私だとわかってくれるところも、どんなに体勢が崩れてもしっかり抱きとめてくれるところも。


「……った、」


好き。

全部、全部大好き。


「……っほんと、何も学習してない!! どれだけ危ないって言えばその頭に刻まれるわけ!? なに、熱で全部忘れた!? ほんっとに、毎回毎回花暖先輩は……っ」


尻餅をつきながらもしっかり受け止めてくれて、それからお決まりの文句。