雪のとなりに、春。

きゅっと手を握ったとき、あっくんのスマホが震えた。


「あ、オリからメッセージ。……売店から家族待機場所に移動するところだって!!」


白い歯を見せてニッと笑って、それから申し訳なさそうに視線を下に落とした。


「ごめん、本当にカノちゃんに言っても仕方ねーじゃんって、自分で言いながら思った……」

「ううん。私もこの手術、うまくいってほしいって思うよ」


そして今、どうしようもなく会いたい。
沸き上がってくるの。
なにか、知らない気持ち。

いろんな感情がぐちゃぐちゃになっているけれど、それだけは確かに奥底の中心で静かに光っている。


「……ありがと、カノちゃん。手術もうすぐ終わるみたいだし、俺らもそっち行こうか」

「うんっ!!」


走り出したくなる気持ちを抑えて、でも早く進みたくて。
それはあっくんも同じだったみたいで、2人とも早足になる。

それに気付いた私たちは、目を合わせて笑った。


“絶対大丈夫”


言い聞かせるみたいに何度も心の中で唱えた。

あっくんに案内されるがままついていく。
家族待機場所というのは、手術室の近くにあるみたいだった。


「この角を曲がれば、待機場所が……」


あっくんの言葉が途絶える。

角を曲がって、長い廊下の先に、いた。