すぐ顔に出る、と何度も言われてきたけど、そこまで露骨に出てました!?
恥ずかしくて顔を見られたくないのと、やっぱりもっとくっついていたくて再び雪杜くんの胸に顔を埋めた。

ちょっとしてから、頭にあたたかい手の感触。

ああ、大好きだ。


「私ね、この間奏雨ちゃんのこと学校で見たの! 見たことないなあと思ってたんだけど、新入生?」

「え……うん」

「やっぱり!! あんなに綺麗な子、一度見たら忘れられないもんね!!」

「花暖先輩」

「うん?」


さっきとは打って変わって、自信の無さそうな心細い声。
甘えられているみたいでなんだか嬉しくなって、口元が緩みきったまま顔を上げてしまった。


「奏雨のこと、言ってなくてごめん」

「え、どうして謝るの?」

「どうして……って、」


何度か瞬きを繰り返す雪杜くん。
そのたびに紺色に映り込む私の表情は、なんともマヌケなものだった。


「先輩、なんとも思わないわけ」

「なんとも……って、ええ?」


雪杜くんが何を言いたいのか分からない。
だって、ええ……?


「奏雨ちゃんがはちゃめちゃに美人だったってことくらい……? あ、声も綺麗だったね?」