雪のとなりに、春。

「……は、はあ!? あなた、なにか勘違いしてるんじゃない!? わたしとこの人は、別に何の関係もな……っ!!」

「一緒に絵描いてただけだよ。あ、あっくんも描いてく?」


別に何の関係もない。

今、自分はそう言おうとしたじゃないか。
なのに、彼の言葉にハッとして、それから頭から冷たい何かが流れ落ちていく感覚に襲われる。

……え、ちょっと待って。これは、わたしは、えっと……ショックを受けてるの……?


「相変わらずだなー環くん。とりあえず、家遠いなら今日は交通手段使えないと思った方がいいよ?」

「え」


い、家に帰られない?

サーッと血の気が引いていく。
どうしよう……お母さんになんて言ったら。

私の顔色が一気に悪くなったのに気付いた色相環が、そっと駆け寄る。


「奏雨、大丈夫? 具合悪い?」

「え、ええ大丈夫。わ、わたし、歩いて帰るわ」


うまく息ができない。一刻も早く帰らなくては。
交通手段が使えないのなら、今からでも歩いて家に帰るべきだわ。


「家泊まっていけばいいよ。親御さんには俺が連絡しとくから」

「あ、あなた何も分かってないわ。そんなの無理に決まってるもの……」

「雪杜家ってそんなに完璧じゃないとだめなわけ?」


ぷつんと何かが切れた音がする。
わかってたまるか。あの重圧を背負った人間にしか、経験した人間にしかわからないんだもの。