雪のとなりに、春。

「ほら」

「っ!?」


いつの間にか伸びてきていた彼の手が、わたしの髪の毛を一束すくい上げていた。
優しく触れるように自分の肘の高さまで持ち上げて、にこりと笑う。


「奏雨の髪だって、すごい綺麗な色」

「……な、あ……っ!?」


なによ、なによその表情。

そんなの、普通の女子は勘違いするに決まってるでしょ!?

わ、わたしだからいいものの、普段からこんな風に女子と接してるわけ!?
作品になって欲しい子みんなにこんなことしてるっていうの!?

言いたいことはたくさんあるのに、あまりにも優しく微笑むから。
声が出ないじゃないの。


「俺はね、奏雨に知ってほしい」

「……え……?」

「いろんな色を、もっと知って欲しい。奏雨の世界は、こんなにも鮮やかだって」

「……何、言って」


いつものお調子者の雰囲気はどこに行ったのよ。
なんでそんなに優しく笑うのよ。
そんなふうに見ないでよ。


「ってことで奏雨、これから一緒に絵でも描こうぜ」

「……は?」


にぱっと白い歯を見せていたずらっ子のように笑った。