雪のとなりに、春。

到着した救急車の中から続々と出てくる救急隊。
そのうち数名が雪杜くんたちの元へ駆け寄っていく。

手の空いている皐月さんが立ち上がって周囲の状況説明、雪杜くんは圧迫を続けながら目の前の男性の状況を簡潔に話していた。

2人の説明を聞いた救急隊がテキパキと行動し始める。
雪杜くんが対応していた男性は真っ先に救急車に運ばれた。

周りに倒れている人たちの処置もあらかた終わっていたのか、救急隊はスムーズに救急車に運んでいく。


次いで警察も到着して、赤いランプでアスファルトが照らされた。

皐月さんは手の空いていそうな救急隊にこちらを指差しながら、なにやら説明している。

その人はもう1人の救急隊を連れて、こちらに近づいて来た。


「みなさん、迅速に対応していただきありがとうございました。お話伺いますので、そのままでお願いします」

「小日向花暖さん、で合っていますか?」

「え、はい……」


もう1人の救急隊に突然名前を呼ばれて背筋がぴーんと伸びる。


「ありがとうございます、おかげで現場が整理されました。怖かったでしょう。もう大丈夫ですよ」

「……あ、う……」


優しい言葉を笑顔でかけられて、一気に安心した。
張り詰めていたものが音を立てて切れたみたいに涙が溢れそうになる。


「あとは私たちに任せて下さい」


その頼もしさに「よろしくお願いします」と深く頭を下げた。
こくんと頷いた救急隊の人は、怪我人に話を聞きに向かう。

私も、雪杜くん達の元に戻ろう。

そう思って視線を移すと、なにやら警察の人たちに状況説明をしている様子だった。