雪のとなりに、春。

声高く叫んだ皐月さん。
ビリッと体中に電気が走った。

赤……赤ってなに……?

私が全く理解できない間に、雪杜くんは少し辺りを見渡して、それから。


「え!?」


横たわっているトラックに軽い身のこなしで乗り込んで行ってしまった。

その間皐月さんは、自分の前に横になっている男性を仰向けにして、乱暴に服を破く。

そして、男性の胸に手を当てて圧迫し始めた。


「あれ……って」


少しして、雪杜くんがトラックから降りてきた。
箱のような物を片手に皐月さんの元へ駆け寄ると、皐月さんが圧迫する手を止める。

雪杜くんの背中で何をしているかまではよく見えない。


少しして、今度は雪杜くんによって圧迫が再開される。

緊迫した空気がここまで伝わってきた。


「おねえさん、こっちにも絆創膏くれないかい」

「ごめんこっちも。血が止まらなくて」

「あ……っはい!!」


ハッとして、ポーチを握りしめて呼ばれた方へ駆け寄る。

絆創膏、補充しておいてよかった。
傷口にぺたりと絆創膏を貼れば、「ありがとう」と声をかけられる。

他に怪我をしている人はいないかときょろきょろしていたとき。


「あ、ピーポーだ!!」


救急車のけたたましいサイレンの音と共に、男の子の声が響いた。