雪のとなりに、春。

「私たちは擦り傷程度ですんだけれど、向こうは大丈夫かしら……」


交通量の多い場所だったけれど、今までにこんなに大きな事故は私が知る限りなかった。
お父さんやお母さん、環くん、ご近所さん達が巻き込まれていないか心配になる。


「皐月、止血に使って」

「ああ!」

「!」


ふと、雪杜くんと皐月さんの声がクリアに聞こえてくる。
現場の整理がされたことによって、静かになったからだろう。

距離があるのでよく見えないけれど、2人は手分けして重傷者の処置をしている。
時に「大丈夫ですよ」と声をかけながら手は休むことを知らない。


「骨折だ、固定しとけ!」

「もうやってる」

「わかりますかー? もうすぐ救急隊来ますからねー!!」

「しばらく押さえてえいてください。俺は一度離れます」


2人とも、目の前の人を救おうと必死になっている。


「……すごいわね、あの2人」

「え?」


先ほどのお母さんが、ぽつりと声をこぼした。


「まるで……」

「赤!!!」

「!」