雪のとなりに、春。

「まさか、皐月を追うつもり?」


いつもより熱をもった手に力が入る。
「行って欲しくない」と言われているのが伝わってきた。

けど、今のままじゃ何も解決しないよ。
きっと皐月さんの中で何かまだ残ってる。

雪杜くんだってそうでしょう?

そんなの放っておけるわけない。


「…………っ」


今すぐ皐月さんを追いかけたいけど、仮に追い着いたとして……何を言えば。

また自己満足なの?
また無神経に、自己満足を押しつけるの?

不安に押しつぶされそうになった時、つかまれていた手がぐいっと引っ張られた。


「なにしてんの、行くんでしょ?」


同じようなことで、悩んだら。
迷ったり自信をなくしたりしたら、その時は思い出す。

大好きな人が私を信じてくれているということが、こんなにも力になる。


「……うん!!」

「よし、少し走るよ。皐月はこの先のバス停に向かったはずだから」


雪杜くんの言葉に大きく頷く。
今走ればきっと追いつけるはずだ。

この先のバス停。

私が先ほど降りた所だ。

もうすっかり日も陰り、街灯の白い光が道路を照らしている。