彼がわたしに朗読をリクエストした文庫本は、ただの安っぽい官能小説だった。決して文学なんかじゃない。そんなシロモノを携帯し、かつ、わたしに朗読させようとするなんて。
リクエストされた場所が格式あるフレンチレストランだったから、ということもあるのだろうが、官能文学というからにはマルキド・サドとかポーリーヌ・レアージュあたりを想像していたのに。彼の人格に過度な期待を抱いていたわたしも悪い。
リクエストされた場所が格式あるフレンチレストランだったから、ということもあるのだろうが、官能文学というからにはマルキド・サドとかポーリーヌ・レアージュあたりを想像していたのに。彼の人格に過度な期待を抱いていたわたしも悪い。



