「蒼空ってさ、男子に媚び売ってるよね〜。」

薄暮で橙色に照らされた教室から、自分よりも数オクターブ高い女子の声が聞こえた。
肩の辺りで緩くパーマのかかったチョコレート色の毛先を弄りながら、まるで息をするように人を貶す。
「わかる〜!なんかボーイッシュなアタシかっこいいでしょ?って感じだよね〜!」
「そうそれ!女子力無いアピールする割に持ち物とかクマとかウサギとか持っててさぁ、ギャップ萌え狙ってるとしか思えないよね!」
親友だと思っていたクラスのマドンナからは私の心を深く傷付ける言葉ばかりが溢れ出してる。
今、教室に押し入り一言「やめて」と言える程度の度胸があれば、傷付かず済むのに。

私、爽田(さわた)蒼空は女子より男子と話す事を好む何も変哲もない15歳だ。