もうこれからの料理も生活も、私とあかちゃんだけの為のもの。
刻んだレモンを、作った肉じゃがの上にたっぷりかけた。
☆
私の子――瑛太は、まもなく3歳になろうとしていた。
とにかく元気で、はしゃぎ回る、駆け回る、目が離せない。
もうすぐ日が暮れる時だというのに、一緒に歩いていたはずの瑛太の姿が見えなくなった。
私は重い買い物バックを両手に持ち、ええたー、と叫んでみる。
この辺りは草で囲まれている遊歩道で、車は通らないから大丈夫だと思うけど。
ええたー、と、もう一度声を上げてみる。
すると、遠くからラッパの音が聴こえてきた。
ラッパじゃない……この音はホルンだ。
やさしい、まあるい音色。
生楽器の音を耳にするのも久しぶりだ。あれから楽器は吹いていない。
重い荷物を抱えながら、なんとか土手の上へあがった。
そこには、大きな川がたゆたっている。
遠くを見れば、高架橋には、電車が夕焼けの光に混ざりながらゆっくり走っていた。
近くに視線を飛ばすと、そこにはホルン吹きの青年と、きらきらしたものが好きな瑛太がそのホルンを前に直立不動していた。
刻んだレモンを、作った肉じゃがの上にたっぷりかけた。
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私の子――瑛太は、まもなく3歳になろうとしていた。
とにかく元気で、はしゃぎ回る、駆け回る、目が離せない。
もうすぐ日が暮れる時だというのに、一緒に歩いていたはずの瑛太の姿が見えなくなった。
私は重い買い物バックを両手に持ち、ええたー、と叫んでみる。
この辺りは草で囲まれている遊歩道で、車は通らないから大丈夫だと思うけど。
ええたー、と、もう一度声を上げてみる。
すると、遠くからラッパの音が聴こえてきた。
ラッパじゃない……この音はホルンだ。
やさしい、まあるい音色。
生楽器の音を耳にするのも久しぶりだ。あれから楽器は吹いていない。
重い荷物を抱えながら、なんとか土手の上へあがった。
そこには、大きな川がたゆたっている。
遠くを見れば、高架橋には、電車が夕焼けの光に混ざりながらゆっくり走っていた。
近くに視線を飛ばすと、そこにはホルン吹きの青年と、きらきらしたものが好きな瑛太がそのホルンを前に直立不動していた。



