「男はみんなそうだよ。オマエは世間を知らなすぎるよ。俺の嫁はピル飲んでくれてるし、ずっと前から避妊リングつけてるから。出し放題」
全身が硬直しているのに、心臓だけがどくんどくんと、激しく脈を打っている。
今まで彼を憶って動悸めいたどきどきじゃない。これは。
彼はカバンから何やら封筒を出すと、テーブルにばさっと置いた。
銀行の名前の入った封筒。かなり、分厚い。
「出産とか生活に使って」
ぼうっとしたあたまのまま、それは多額の現金だということだけは解った。
「……これが、あなたの“ちゃんとする”って言葉の意味?」
「そうだけど。他になにか俺ができることって」
「ふざけないで!」
私はその白い封筒を手に取って、そのまま投げつけてやろうとした。
だけど、その刹那、洸さんは私の手首をぐっと握った。
「それは違うよ。つき返すのは違う。もっと冷静になるんだよ。澄花ちゃん。必要なのは、金だ」
そこでふっ、と洸さんが笑みを見せた。
やっぱり大人だ。敵わない。彼の言う通りだ。
「……くっ」
怒りで沸騰していたけれど、私は諭すような彼の言い草に、あたまをたれた。
全身が硬直しているのに、心臓だけがどくんどくんと、激しく脈を打っている。
今まで彼を憶って動悸めいたどきどきじゃない。これは。
彼はカバンから何やら封筒を出すと、テーブルにばさっと置いた。
銀行の名前の入った封筒。かなり、分厚い。
「出産とか生活に使って」
ぼうっとしたあたまのまま、それは多額の現金だということだけは解った。
「……これが、あなたの“ちゃんとする”って言葉の意味?」
「そうだけど。他になにか俺ができることって」
「ふざけないで!」
私はその白い封筒を手に取って、そのまま投げつけてやろうとした。
だけど、その刹那、洸さんは私の手首をぐっと握った。
「それは違うよ。つき返すのは違う。もっと冷静になるんだよ。澄花ちゃん。必要なのは、金だ」
そこでふっ、と洸さんが笑みを見せた。
やっぱり大人だ。敵わない。彼の言う通りだ。
「……くっ」
怒りで沸騰していたけれど、私は諭すような彼の言い草に、あたまをたれた。



