夕焼けの音



「ちょっとま……。あかちゃん、いるのよ」

それからというもの、洸さんは毎日のように私の家に来るようになった。

家事をやってくれるとか、身体を気遣うというどころか、彼はますます私の身体を求めるようになった。

「いいだろ。大丈夫だって。子どもがふたごやみつごになるわけでもないんだし」

前にも増して、彼は激しくなった。

私のお腹には、あかちゃんがいるのに。

「やめ……て!」

私は覆いかぶさる洸さんを、どん、とつきなはした。
彼は息をあげたまま、きょとんとしている。

「妊娠初期だよ? 流産するかもしれないんだよ?」
私はお腹に手を当てて、子どもを庇うようにして、彼にアピールする。

「じゃあ俺、帰るわ」
そそくさとシャツを拾い、そして袖を通した。

「……え?」

「明日も早いし。じゃあな」

ドアを出て行こうとする彼に、私は裸で抱きついた。

「……そろそろ親に、報告したいんだけど」
洸さんは半分だけ私に振り向く。
「すればいいじゃん。めでたいことだ」