桜の天の川

「あのさ、リオン、」
別れ際、桜の木の下で陽桜は私の名前を呼んだ。
「寂しいから、墓参り、ちゃんと来てほしいな。」
「あ」
思い出すと泣いてしまうから、なんていう利己的な考えで、一度も墓参りにいかなかったことを思い出す。
「ごめん。」
謝ると、陽桜はちょっと笑って、
「謝る必要ないよ」
「それにさ、リオンが俺のこと思ってくれててうれしかったし。」
ああ、なんだ。
陽桜はわかってたんだ。
でも、
「これからは、ちゃんと行くから!」
陽桜は嬉しそうに笑うと、
「うん!待ってる!そんじゃあ!」
と言って消えていった。
去ってゆく陽桜の背中に、叫んだ。
「大好き!」
その時、「俺も」って声が聞こえた気がした。