ある夜の事、

「まーちゃん、俺、まーちゃんとの子どもがほしい」

魁(かい)が言った。

「魁君、わたし、怖い…」

魁の手を握りながら、茉白は言う。

「子どもを産むのが?」

「それもだけど、育てるのが怖い…。
親に愛された事もないわたしが、どう子どもを愛するの?
わからない…」

魁は、一旦、茉白の手をほどくと、ギュッと茉白を抱きしめた。

「簡単だよ。
ギュッってしてあげればいいんだよ」

「抱きしめるだけ?」

「抱きしめたら、言葉なんていらないと思うけどな」

「ありがとう、魁君。
わたし、がんばってみる」

「まーちゃんだけじゃないよ。
俺も一緒に育てるから」

魁はいつも茉白を優しく包んでくれる。

「魁君にそう言ってもらえたらなんか楽しみになってきた!
赤ちゃん、早く来てくれるといいな…」

茉白は優しくお腹をさすった‐。