雨上がり、また想いだせるように。



*:..。o○☆



「ただいま」



憂鬱(ゆううつ)な学校一日目を乗り切った私は家の玄関を開けた。


玄関にはお母さんの靴、そしてお姉ちゃんの靴が置いてある。


いつもならこの時間にお姉ちゃんの靴はないのに、と沈む気持ちをこらえて、リビングへ向かった。



リビングにはお母さんが居て、キッチンで晩ごはんを作っている。



「お母さん、ただいま」


「あぁ、雨。おかえり。手は洗った?」


「今から」



お母さんは優しい。


何も出来ない私を邪魔者扱いしないし、無視をすることもない。


でも、お姉ちゃんか私と喋るとき楽しそうに笑っているのはお姉ちゃんと喋る時。おしゃべりをするという些細(ささい)な時間さえも愛情の違いというものをひしひしと感じる。


もし、お姉ちゃんと私が川で溺れていたら迷いもせず、真っ先にお姉ちゃんを助けるだろう。








手を洗いに洗面所に行き、蛇口を上げて水を出した。


洗面台は階段の近くで二階に居るであろうお姉ちゃんに鉢合わせしないため、急いで洗う。


その時、誰かが階段をおりる音が聞こえた。


階段の方を見てみると、やっぱりお姉ちゃんがおりてきている。



「……お姉ちゃん、帰ってきてたんだ」



話しかけても返ってくるわけ無いのに、期待をして声をかけてしまう。



「……」



でも、返してくれるわけでもなく、お姉ちゃんの視界にも私は入らなかった。つまり、完全な無視。自分がまるでその場に居ないかのような錯覚を起こしそうになる。