雨上がり、また想いだせるように。



見間違いなのではないか、何度も見て口を動かして小さな声で読んでみる。


確かめたくて、男の人を見ると彼は頭を縦にコクっとふった。


夢の世界に居る前野さんがまさか、虹空くんのお父さんなんて、誰が気づくのだろう。まるで、年の離れた友達のようで、親子には見えなかった。


名前の下を読んでいくとそれは病院の診断書のようで“認知症”と書かれていた。



「虹空のお父さん……いや、前野は離婚したあと多額の慰謝料を払っていた。それも、虹空のお母さんだけじゃない。相手も既婚者で不倫をしてたんだ。だから、相手側にも慰謝料を払わないといけなくなった。息子にも会えなくなって、多額の慰謝料もあって、前野は何に溺れたと思う?」



改めて部屋の中を眺める。


前野さんが何に溺れたかは一目瞭然(いちもくりょうぜん)だった。



「……お酒」



「そう!!」男の人が指をぱちんと鳴らす。



「前野は酒に溺れたし、ストレスも溜まっていた。  認知症は酒を多量に飲むことでも発症してしまうんだ。だから、前野は忘れたくないと嘆いている」


「どんな症状があるんですか?」