雨上がり、また想いだせるように。


しばらくして、彼はため息をついて花瓶を元の角度に戻した。



「最近は薄かったのに、今日はいつもと比べて一段と濃い。あいつ一体、何考えてるんだ……」



独り言のようにぶつぶつと呟いている。あいつとは誰のことなんだろう。



「どうしたんですか」



私が聞くと急に「雨!」と肩を掴まれた。


驚きすぎて後ろに後退る。



「最近、虹空の様子が変だったとか、態度が素っ気なくなったりしなかったか?」


「……そういえば、今日、『一緒に夢の世界から出でいかないか』って言われました」


「あいつはほんとに何を考えているんだ……」



男の人が両手で顔を覆いながら、私の前をうろうろしている。


今さっきからこの人は何を話しているんだろう。虹空くんとこの霧は何の関係があるのだろう。私は話が分からないでいた。



「あの〜……今さっきから何の話をしているんです
か?」



右手をちょこっと上げて、ずっと何かを考えている男の人に聞いてみる。


何だか邪魔をしているようで気が引けるが、これは虹空くんの未来を変えたい私に関係しているような気がする。



「ごめん。説明してなかったね。この霧はね虹空の気持ち、そのものなんだよ」



頭の中が混乱して、よくわからなくなる。この霧そのものが虹空くんの気持ち?


話の流れ的に霧が濃いほど虹空くんは何か心にモヤモヤを抱えているということだろうか。