『雨。この世界から出たくなったらいつでも言ってね』
『……雨は自分が思ってるよりもずっと強いからもうすぐ、この世界がなくてもやっていけるよ』
確かに虹空くんはそう言っていた。
もしかして、私のことを考えて私を夢の世界から出そうとしている?
「虹空くんも一緒だよね?」
そう発言したとき、虹空くんが夢の世界と現実の世界を行きき出来ることを思い出した。
なのに、そのことを聞くことは出来ない。
誰しも知られたくない過去というものがある。
虹空くんにとって夢の世界が出来た経緯は苦しいものであって、彼はきっと思い出したくない物だろう。
私は虹空くんが学校の屋上から飛びおりる未来を変えたい。かといって、それを本人に言うことも「死なないで」と言うこともきっと、彼の負担になる。
「もちろん」
虹空くんは微笑むが、ぎこちない笑顔だということが分かる。
「虹空くんはこの世界から出たいの……?」
「雨が出るなら」
即答だった。虹空くんは私が出るならと言うけど、私だって虹空くんが出るならこの世界を出る。なぜなら居心地のいい場所を見つけてしまったから。
「でも、この世界から出て行って雨が僕のこと、忘れちゃうのは嫌だな」



