「はい」、空いてる方の手で小指同士を絡ませて、ゆびきりげんまんをする。



「ありがとう。………雨と出会えて良かった」



時々、虹空くんの言葉がおかしなくらい、胸にひっかかることがある。


今さっきの言葉だって、普通のありがとうなのに、まるで永遠の別れのような気がして、怖い。




天気雨が止んで太陽がアスファルトの地面をきらきらと輝かす時。空には大きな虹がかかっている。


ベンチから立ち上がり次は海の近くの公園へ向かった。


公園へ行く道のりは階段が何段も何段も続いていた。


見渡す限り、現実の世界と何も変わらない公園。


もう夕方だからだろうか、公園には私と虹空くん以外の人は居ない。


公園の周りを囲うようにぐるっとはりめぐらされている柵に近づく。



「うわ……すごい」



今さっきいた海よりも公園の方が高いところにあって、どこまでも続く海を眺められるのはもちろん、街全体が見渡せる。



「いいでしょ、ここ。暇なときによく来るんだ」



虹空くんも私の隣に立って、一緒に目の前いっぱいに広がる奇麗な景色を眺める。


ずっと、こんなに幸せな日々を過ごせればいいな。



「雨、見てみて」