ピンポーン、玄関のチャイムが鳴る。


私は駆け足で扉に近づき、勢いよく扉を開けた。



「おはよう。虹空くん」


「あはよう、雨。元気そうで良かった」



昨日の夜、部屋に入った私は疲れのあまりベットに倒れ込んだ。そして、ご飯を食べることも忘れて眠りについた。


今日の朝、目を開けることがとても怖かった。


目を開けてしまえば、元の世界に戻ってしまっているかもしれない。”夢の世界”なんてただの私の妄想だったのかもしれない。


そんなことを沢山考えて恐る恐る目を開いた。


目を開くと見慣れない部屋の景色が広がっている。


私はとても安堵した。言葉では言いきれないほど、ほっとした。



「雨。お腹空いてない?」



虹空くんに聞かれて思わずお腹をさする。


さするとお腹が今にもぐーっと鳴りそうな気配。



「……空いてるかも。昨日の夜、食べてないから」


「じゃあ、食べに行こう!それから案内するよ」








虹空くんに案内されたのは団地の中にある食堂のような場所だった。


そこには、沢山の人が居た。小学生くらいの幼い子、私と同い年くらいの人も居れば私よりもずっと年上の大人の人も居る。