「おい、慶都。こっち」


そう呼んだのは、真斗君のお父さんだった。


「真斗。ごめんな、遅くなって」


「ううん、いいよ。来てくれてありがとう」


そっか……真斗君のお父さんが慶都さんを誘ったんだ。


でもちょっと待って、こんなの反則だよ。


何の心の準備もできてないのに、また慶都さんと会うことになるなんて。


本当、この人はいったいどれだけ私のことをドキドキさせたら気が済むんだろう。


しかも、今日は雪都もいる。


この状況、どうなってしまうの?


突然のことに、ただあたふたするだけの情けない自分。


それなのに、慶都さんは他の人にわからないように私に爽やかにアイコンタクトして……


ほんの数日会ってないだけなのに、目配せされただけで、どうしてこんなに胸が熱くなるんだろう。


さっきまで平穏だった鼓動が、どんどん激しさを増していくのがわかる。