「あっ、ねえ、イケメンといえば、この前のあのドラマ見た? 保育士役の男の子、すごく可愛かったよね」


もういたたまれなくなって、舵を思いっきり切って会話を全く違うところに方向転換した。


「見た見た! 確かにあの子最高だよね~可愛くて癒し系でさ」


「あの子って誰のことですか? そんなドラマありましたっけ?」


良かった、話題が変わってホッとした。


本当……慶都さんのことになると思考能力が大幅に低下する。


2人がドラマの話で盛り上がってる間、私はそこからビールを飲むスピードをちょっと早めた。


雪都が今日はおじいちゃん家にお泊まりだから、何だか酔いたい気分になって……


毎日毎日いろんなことがあり過ぎて頭がいっぱいだけど、とにかくもっと冷静になるべきだし、落ち着かないとダメだ。


慶都さんのことは今は胸の奥にしまって、久しぶりの弥生と理久先生との楽しい時間を最後まで笑顔でゆっくり過ごしたいと思った。