あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~

「彩葉の夢は?」


「えっ、私? う~ん、そうだね……私も保育士になれたから、とりあえず夢は叶ったし」


「そうなの? でも、もっといろいろあるでしょ?」


弥生に突っ込まれて、さらに先を考えようとしたら、慶都さんの顔が浮かんだ。


顔が赤くなってないか心配になりながら、冷静になれ! って、自分に言い聞かせた。


「あっ、う、うん。でも、子育てしながら仕事もできて、今の環境には本当に感謝してるから、これ以上は……」


かなり慌てて誤魔化した感じ、バレてないかな?


「すごいですよね。子育てしながら保育士なんて、尊敬しかないです。雪都君、すごく可愛いし、いつも側にいられて彩葉さんは幸せですよね」


弥生も理久先生も、雪都の父親のことを無理やり聞こうとはしない。


慶都さんのことは……やっぱりまだ言えない。


本当はみんなにも相談したいけど、その思いは今は一旦飲み込むことにした。