九条さんは、目を閉じてゆっくりとうなづいた。


何かを噛み締めるように。


「彩葉、今まで本当に申し訳なかった。でも君のこれからの人生は、俺と一緒に歩んでほしい。もちろん、雪都と3人で。君以外の人は考えられない。必ず、幸せにするから」


「九条さん……?」


これってどういう意味?


雪都と3人でって、まさかプロポーズみたいなことなの?


ちょっと待って……


私、頭が追いついていかないよ。


「彩葉は俺の妻、雪都は俺の子ども、俺は夫になり、父親になる。俺達は家族になるんだ」


嘘……


こんなセリフ、嘘だよ。


やっぱり私はまだ夢の中?


とても現実に起きてることとは思えない。


でも、もし……


もし、これが現実だとしても、こんなにも愛のこもった想いを、私なんかが素直に受け取っていいの?


「彩葉?」


次の言葉が出てこずに戸惑っている私の顔を真剣に見つめる九条さん。


その澄み切った美しい瞳には、感極まった私が写ってる。


九条さんは、間違いなく、今、私だけを見てくれてるんだ。