あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~

「父にも君のことをもっと早く話せば良かったし、彩葉にもキチンと経緯を話しておくべきだった。そうすれば、こんなにも君を苦しめずに済んだ。君が妊娠してどんなに悩んだかと思うと……自分のしたことが許せない。全て曖昧にした俺の責任だ」


「そんなこと……そんなこと決してありません。お願いですからご自分を責めないで下さい。断っていたとはいえ、麗華とのお見合いがはっきり解消になっていない時に、私にどう話せばいいか悩んでくれたんだってわかります。麗華や父の気持ちも大事にしてくれたんだって。それに、私が妊娠するなんて……そんなことわかるはずないですから」


九条さんは首を横に振った。


「俺は情けない。今さら何を言っても言い訳にしかならないとわかってる。だけど、あの時、ちゃんと全てを話して、君を一緒に連れていくべきだった」


お願い、そんな悲しい顔、しないで……


「向こうに行って、仕事を理由にようやく父にも一堂社長にも見合いの話を破談にしてもらえた。でも、その時、何も知らない君は1人で……たった1人で……悔やんでも悔やみきれない」