あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~

本当のお母さんを亡くしてしまった麗華にとって、新しい「お母さん」は必要なかったのかも知れない。


自分に置き換えれば、その気持ちは痛いほどわかるけど……


でも、母にとって、その態度は本当につらかったと思う。


好きになった人がたまたまお金持ちだっただけ。


それなのに、麗華は母に対してどんどん辛辣な言葉をぶつけるようになっていった。


『この家に入り込んだのは財産目当てでしょ? ただのそこら辺にいる主婦が、お母様の代わりになれるとでも?』


『財産なんて関係ないよ。お母さんのこと悪く言わないで。お母さんは麗華のこと、ものすごく大切に思ってるんだよ。私だって本当の妹みたいに……』


『彩葉さんは黙ってて! あなた達にはこの一堂家の名前を名乗る資格なんて無い!』


そんなやり取りが数年続き、とうとう母は体調を崩してしまった。


心も体も……


父や私の愛情だけではどうにもならない闇が、母に襲いかかってしまったのか?


母はまた……笑えなくなった。