理久先生に大正解を出され、かなり困惑した。


透明な壁で仕切られた奥の部屋からは、私の怪しい行動が丸見えだったらしい。


「べ、別に何でもないよ。気のせいだから」


そうやって下手な芝居でごまかしてはみたけど、理久先生ってこういうのに敏感だから……嘘ついてるの、バレてるかな。


いつだって人の気持ちが良くわかる人だもんね。


理久先生は、本当にすごく優しい先生なんだ。


「スーツ姿があんなに似合うイケメン、なかなかいないですよね。あの雰囲気、男の僕からしても憧れます」


そうだよね……あんなカッコいい人、他にいない。


やっぱり、あの人は九条さん。


「九条 慶都」さんだよね。


どうしてこんなところにいるの?


ずっとずっと想い続けて、必死で忘れようとしても全然忘れられなくて、消したくても消えなくて。


それでも、ようやく少しずつ自分らしく前に進めるようになってきたのに……


こんな再会……有り得ないよ。