「元気だったか? 彩葉の結婚式の写真を持ってきたんだ」


「いつもありがとうございます。さあ、中に入って下さい」


妻の実家。


ずいぶん田舎だが、たまには都会の喧騒から離れ、こんな場所で心を落ち着けるのもいい。


あれからいろいろ考え、優秀で情に厚い弟に社長を譲ろうと思ってる。


私は、少し離れたところからアドバイスできればと。


孫の雪都と一緒にいられる時間もほしい。


「素敵な写真ばかりです。本当に……彩葉、幸せそう」


「ああ。だからな……今度は君が幸せになる番じゃないか? 麗華のことは話した通りだ。君には、あの家に戻ってきてほしい。2人手をたずさえて、残された人生を君と楽しく生きていきたい」


「あなた……」


「ずっと守ってやれなくて悪かった。でも、これからは必ず…君を守る。だから、ゆっくりでいい、数日間の行き来を重ねて……いつかはあの家に戻ってきてくれないか」