あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~

雪都が私の洋服を掴んで聞いてきた。


麗華が泣いてるのを見てびっくりしたんだよね。


「あっ、うん、大丈夫だよ。麗華お姉ちゃんが泣いてるのはね、すごく嬉しいからなんだよ」


私がそう言うと、麗華はお父さんから離れて、雪都の前にしゃがんだ。


「雪都……あなたが彩葉さんの子どもなのね……」


「うん、そうだよ。麗華お姉ちゃん泣かないで」


そう言ってから、向こうのテーブルに置いてあるティッシュケースまで走り、急いで戻る雪都。


そして、ティッシュを持った小さな手で、麗華の涙を優しく拭った。


「大丈夫だよ、お姉ちゃん。僕がお姉ちゃんの側にいるから」


ドキッとするようなセリフ、そんなこと言えるようになったんだ……


まるで慶都さんを見ているよう。


「雪都……ありがとう。あなたは私の甥っ子……可愛い天使。これからもよろしくね」


「うん!」


麗華のこんなにも穏やかな表情、今まで見たことなかった。