診察室に入ると目を真っ赤にしたお母さんと、瀬戸先生が座っていた。
「華ちゃん、これから言うことは決して軽いことじゃない。それでも聞くか?」
「はい。私の体の事なんでちゃんと聞きたいです。」
そう言うと瀬戸先生は私の病気のことを全て話した。
脳腫瘍があること。悪性の可能性が高いこと。
治療法のこと。リスクのこと。
治療が成功したあとの生活のこと。
そして、余命が1年だということ。
あと2ヶ月で走れなくなり、だんだん体が動かしにくくなっていくこと。
私は衝撃だった。
自分の身にこんなことが起こるなんて考えたこともなかったから。
「15歳にこんな選択をしろと言っても難しいかもしれない。混乱もしてるだろう。だけど治療をするなら早めに始めたほうがいい。ご両親とよく話し合って華ちゃんが納得する答えを出して欲しい。」
「わかりました。ありがとうございます。失礼します」
そう言ってお父さんたちと一緒に診察室を出た。
