嘘つきは恋のはじまり✗ 恋の終わり???


週末は地元に帰るか
カノジョが来るか

毎週カノジョと会ってた


半年間の遠距離恋愛



芭と再会した話をカノジョにした


「へー…楽しそうだね
よく涼くんが話してた元カノやろ」


「あー…そぉそぉ、話してたよね」


「最近はめったに話さなくなったのにね」


オレって
そんなに芭のこと話してたんだ


カノジョはいつも
嫉妬することも怒ることもなく
オレの話を聞いてくれてた


女同士の恋バナを聞くみたいに
嫌な顔どころかむしろ楽しそうに


けど…

オレがしてることって
酷いかも


元カノとの思い出を
平気でカノジョに話す


よく考えると
相当酷い


サイコパスか?
オレ


「ごめん…」


カノジョに今更謝った


「ん?なんで?なんで謝るの?
涼くんの思い出ばなし聞くの楽しいねん
涼くん、恋してる顔してる
私、涼くんのその顔、好いとったよ」


オレがカノジョに
過去の思い出を話す時

そのほとんどに芭がいて


でも
今、話してるのは…

これから話すことも…


芭に再会してからの話は
思い出ばなしじゃなくなって


今のオレで…
今のオレの気持ちで…



涼くん、恋してる顔してる
涼くんのその顔、好いとったよ


オレはカノジョと付き合ってても
芭に恋してたのかもしれなくて


カノジョはそんなオレの気持ち知ってて
付き合ってくれてたのかもしれない


地元に帰って結婚するって話は
本当だった?

もしかして
そんな相手ホントはいなくて

嘘だった?

オレと付き合ってるの辛くて
オレに嫉妬してほしくて
嘘ついてた?



「涼くん
そろそろウチ、地元に帰ろうかな…」


「え…」


「ほら、ずっと前に話したやん
覚えてないかな…
父親の会社の…」


嘘ではないんだ


「あー…うん…」


「父とは大学卒業したら帰るって約束だった
でも、もぉ卒業して2年も経っちゃった
こっちに来て6年
涼くんと付き合って5年が経った」


「うん…」


カノジョと付き合って
5年も経ったのに…

新しい恋をしたら
忘れられると思ったのに…


「楽しかったな…
涼くんも、楽しかった?」


「うん、楽しかったよ」


「涼くん、ウチ涼くん好きやったよ
涼くんも好きだった?」


「うん、好きだったよ」


カノジョと付き合ってた5年間は
ホントにカノジョのこと好きだった


「誰を?涼くんは、誰を好きやった?」


「え…」


考えさせられた


5年付き合ったカノジョ

1年しか付き合ってなかった芭


カノジョのことは好きだったけど
後半はいつか終わるって思って付き合ってた


その方がなぜか気がラクだった


最初から…
付き合った時からオレは

芭を忘れる気なんかなかったのかもしれない


「涼くんが誰を好きでもええん
ウチは涼くんといた時間は
ちゃんと涼くんが好きやったよ

きっと涼くんもそぉだから
ウチといてくれたと思ってる

言いたいことばかり言うて、ごめんね
いつも私のワガママ聞いてくれてありがと

最後は…
最後ぐらいは、涼くんが決めてや

ウチと涼くんの、これから…

どんな答えでも
ウチは涼くんの気持ちに従うよ」


ワガママなんかじゃない

お互い隠し事ナシで
言いたいこと言おうって付き合ってきた


オレも言いたいこと言ってたし
カノジョも聞いてくれた


ホントにワガママなのは
オレで…


「ごめん…
ずっと、辛かった?」


「ん?なんで?
ウチは楽しかったよ」


「ウソ…ホントに?」


「ホンマに
ウチが嘘つけると思う?
涼くん、ウチの性格知ってるやろ

涼くんも嘘つけない人だよね
すぐ顔に出るし
素直で正直で…
涼くんのそこが好きやった」


「どんな答えでも…って…
オレたちのこれからのこと…って…」


このまま続けるか

別れるか


それだよね?


「うん
涼くんの中では
もぉ決まってるやろ」


カノジョは
オレの全部を知ってるみたいに言った


5年間のオレを
全部知ってる人


「少し考えさせて…」


「アレ?
今言ってくれてもいいのに…

でも、ちょっと嬉しいな

同じ答えでも
ちゃんと考えてくれるって」


カノジョは知ってた

オレが出す答え


きっと、オレよりもよく知ってる


でも簡単じゃなくて
ちゃんと考えたかった


この5年間

これからのオレたち


それから

芭のこと