部屋の隅に積まれた本の中に
卒業アルバムが見えた
アレって高校のだよね?
私も持ってるもん
「深瀬、あの卒業アルバムって…」
「あー…
だいぶ前に元カノが見たいって言うから
持って来た
片付けてたら出てきた」
「アレも捨てるの?」
「まさか
明日実家持って帰るよ」
「ねー
私のこと話したって言ってたよね?
もしかして卒アルの私の写真も見せた?」
「うん
どれ?って言われたから、コレって言った」
「ヤダー、恥ずかしい」
「かわいいねって言ってたよ」
そーゆーことじゃなくて…
絶対当人の方が美人なパターンでしょ
別に競ってるわけじゃないけど
付き合ってる年数で負けてるし…
「あ、元カノの写真ないの?
私にも見せてよ」
「んー…ない」
「ウソ!」
「ないよ
今日、全部消した」
そう言った深瀬が少し寂しそうで
それ以上言えなかった
深瀬
今日このアパートで
いろいろ思いながら写真消したのかな…
泣いたかな?
5年も付き合ってたカノジョだよ
思い出いっぱいあったよね
深瀬がスマホを見てた
写真探してくれてるのかな?
「1枚ぐらいあった?」
消したくない思い出
1枚ぐらいあるよね
「んー…全部消したはずなんだけど…
消し忘れあるかな…」
あっても私には見せたくないのか
大切な思い出だもんね
「深瀬、やっぱりいいよ
ふたりの思い出の写真なんだから
私なんかに見せなくて…」
「あ、あった
見る?元カノの写真」
「え…いいの?」
「うん」
見せてって言ったけど
少し見るのがこわくなって
ゆっくり深瀬のスマホを覗き込んだ
え…
この写真
私も持ってた
深瀬と私の笑ってる写真
「コレ、私じゃん!」
「コレも元カノの写真じゃん
まー、この写真は付き合う前だけどね」
「ふとりともめっちゃ笑ってるね
そんな楽しかったのかな?」
「楽しかったじゃん
オレは憶えてるよ」
私も憶えてるよ
この時まだ付き合ってないけど
もぉ深瀬のこと好きだったと思う
告白してくれるなんて
思ってもなかった
「深瀬、消してなかったの?」
「うん
草薙、携帯変えたからないでしょ」
「うん」
ホントは持ってた
携帯変えたけどわざわざ移行した
次のカレシできたら消そうって
そのままカレシできなかった
「この時に戻りたいな…」
耳元で深瀬の声が聞こえて
近いのに気付いてドキドキした
この時に戻れたら
深瀬はまた
私に告白してくれるのかな?
やっぱり付き合わなきゃよかったって
思ってないかな?
「オレってもぉ、涼には戻れないの?」
「え…」
深瀬を見たら
深瀬は写真みたいに笑ってなくて
切なそうに笑った
あの時
何もなくても楽しくて
深瀬が近くにいるだけで
ドキドキして
今も
今でも私は…
「芭…」
深瀬が近くにいるから
ドキドキするよ
なんて、答えたらいい?
どんな意味で言ってる?
涼…って呼んだら、どぉなるの?
深瀬が近くて
身体が熱くて壊れそう



