深瀬と駅まで歩いた
「さっき暗くてもぉ見えなかったけど
丘からの町並み、変わらないね」
「微妙に変わったよ
神社の大っきい木なくなったし
郵便局の近くに新しい家がいっぱい建った
あと山田んちの屋根の色
緑から青になった」
「変わったこともわからないくらい
私、帰って来てなかったんだ」
深瀬は
あの丘によく行ってたのかな?
微妙な変化もわかるくらい
「草薙と別れてからも
オレひとりでよくあの丘行ってたんだ
…
今だから言えるけど
『はな、まだ好きだよ』とか
女々しく地面に書いてた
…
もしかしたら芭も
ここに来て見てくれるかな?って」
知らなかった
深瀬そんなことしてたんだ
「へー…そーなんだ」
「ひいた?」
「んーん…別に…」
嬉しいなって思ったけど
言わなかった
「草薙が地元離れてからも
草薙がいる所ってどっちかな?って
あんな小さな丘から見えるわけないのに
バカみたいだけどよく来てた
…
それからカノジョができて
しばらく来なかったけど
ふと思い出すたび、ひとりで来てた」
思い出すって
深瀬は何を思い出してたんだろう
さっき来た時
芭…って呼ばれた
深瀬の中の私との思い出は
どんな思い出なんだろう
またドキドキする
胸が熱くなる
夏のせいかな?
「さっき暗くてよく見えなかったけど
草薙、顔赤くない?」
え!バレた?
ドキドキしてるの
深瀬に覗き込まれて
更にドキドキした
近いよ!
離れて!
「え、そんなことないよ
深瀬、目悪くなった?」
「もしかして草薙
あそこでずっと待ってた?
ここも赤い
日焼け?」
深瀬の手が私の腕をなぞった
やめて!
ドキドキさせないで
もっと赤くなる
「あ、ちょっとね
焼けちゃったかな?」
だいぶ待ってたから
やっぱり焼けちゃった
「草薙、すぐ赤くなる」
それは日焼け?
それとも…
「深瀬もなんか焼けたね」
Tシャツから出る腕がいい色になてった
高校生の時の深瀬みたいで
やっぱりかっこいいな…って思った
私
こんなカッコいい人と付き合ってたんだ
さり気なく距離をとって
熱くなった頬を冷ました



