「とりあえず来てくれてありがと
草薙、だいぶ待った?」
「そんな待ってないよ
私もさっき来たところ
…
あ、MARIOのクレープ食べた
チキンサラダスペシャルっていうの
深瀬も食べた?」
「あー、食べた」
「なんだ
せっかくゆで卵入ってたって
教えようと思ったのに!」
「アレ、アタリだとゆで卵2個入ってんの」
「ウソ!2個も?
1個でもお腹いっぱいだったよ」
「喉の水分奪われるしね」
「ハハ…確かにね
飲み物なしだと辛いかもね」
「アタリなのに罰ゲームだよな」
「ハハハ…
あたらなくてよかった」
「草薙、また何食べるか迷った?」
「ん?
うん、なんでわかった?」
「いつもそーだったから…
変わんないね
でもなんでチキンサラダにしたの?
いつも生クリームの甘いヤツだったじゃん」
「うん
ホントは甘いの食べたかった
でも、深瀬に教えたかった」
「なんだ
ゆで卵知らないふりした方がよかった?
…
ねー
チキンサラダスペシャルってどんなの?」
「ハハ…もぉ遅いよ」
「じゃあ、明日甘いの食べ行く?」
「え…」
それって深瀬と?
誘ってくれてる?
「海老丸は残念ながら定休日だった」
「うん、私も貼り紙見た
向こうに帰ったらあの冷凍チャーハン食べるね
私、今日向こうに帰るんだ」
「え、そーなの?
なんか用事あった?」
「うん…
今日帰って来たんだけどね
お墓参り行ったし
お父さんとお母さんの顔見れたし
帰ろうかな…って…
…
あ、新幹線終電、そろそろ行かなきゃかな…
深瀬は?
いつまでこっちにいれるの?」
元カノに会うの?
もぉ会ったかな?
「決めてないけど、適当に帰る
今日さ
元カノのアパート片付けてて…」
やっぱり会ってたんだ
「アパート?」
「別れた後すぐ
お父さんが倒れたらしくて
すぐ実家に帰ったんだ」
「そーなんだ
大変だね
大丈夫なの?」
「あ、草薙、電車の時間大丈夫?」
「うん、もう少し大丈夫だよ」
「それで、そのまま関西の実家に引っ越して
アパートにオレの物が残ってるから
片付けたらアパート引き払ってほしいって
頼まれてたんだ」
「そっか…
深瀬も大変だったんだね
もぉ片付いたの?」
「うん
今日だいたい終わって
明日ゴミ出そうと思って…
向こう戻る前に引き払いの手続きする」
深瀬
もぉ大丈夫なのかな?
カノジョのこと引きずってない?
思い出の場所なくなっちゃうね
「もぉカノジョに会わないの?」
「うん、もぉこっちには来ないから
会うこともないかな…」
「寂しくない?
だって嫌いだったわけじゃないでしょ」
「うん、まぁ…
いつかこーなるの覚悟して付き合ってたから
寂しくはないかな…
…
草薙は?」
「なに?」
「草薙はあの時…
オレの他に好きな人できたって言った時
オレのこと…
オレのどこが嫌いだった?」
嫌いじゃなかったよ
好きじゃないわけでもなく
まだ好きだったよ
そんなこと
今更言っても…
「どーだったかな…
忘れちゃった」
「ひど…!
嘘でも嫌いじゃなかったって聞きたかった
悪いとこあったら、直すから…」
深瀬に直すところなんてないよ
深瀬に非はない
だって
大好きだったもん
「嫌いじゃなかったよ
…
好きだったよ」
「え…?」
「ハハ…嘘だよ」
「なんだよ
2度ガッカリさせるな!」
「あ、時間…
私、もぉ行かなきゃ…」
「え、もぉ時間?
間に合う?
駅まで送るよ」
「大丈夫だよ
深瀬の家、駅と反対じゃん」
「そんなの、別にいいよ」
「別にいいよ、送らなくて」
「送らせてよ
送りたいから…」
深瀬に送られたら
ホントに帰りたくなくなるよ
またホントのこと
言えなかった



