嘘つきは恋のはじまり✗ 恋の終わり???


クッションを抱いて床に寝そべったら
テーブル越しに深瀬も寝そべった



休みの日に
ふたりでゴロゴロする

なんなんだろう?



「狭くてゴメン
テーブルぶつからないように気をつけて」



「うん」



このテーブルがあることで
なんか安心感ある


テーブルの下から深瀬が見える


この眺め悪くない



「ハハ…なに?この休日…
草薙とゴロゴロしてる」



「私も今思った
私なんか、毎週こんなカンジだよ」



「つまんな…」



「だよね、つまんないね
でも、深瀬が隣にいると、なんか違う」



「それは、いい意味で取っていいの?」



いい意味?

どんな意味?



「んー…いい意味かな…悪い意味ではない
でも、深瀬はつまんないでしょ」



「オレ、週末こんなのんびりしてたことないかも」



深瀬
今、元カノのこと思い出したかな…


思い出すっていうか
まだ忘れられないよね


別れたばっかりだもん



合意のうえって言ってたけど
なんで別れたんだろ



私、別れる前にも深瀬の部屋来て
不謹慎だったな…

アレは酔ってたから仕方ないけど…


部屋に来なくても一緒に飲んだり食事したし



何もなかったけど



深瀬に対して
何の気持ちもなかったって言ったら
嘘になる



「ねー、深瀬…」



「なに?」



フローリングから伝わる声



「深瀬が別れたのって
私のせいじゃないよね?」



とか
自惚れたことを聞いてみる



「…」



フローリングは
静かなままだった



恥ずかしくなる



「ごめん、変なこと聞いて…」



「それって
どっちの意味で聞いてる?」



「どっちの?」



「オレが草薙と食事とかしてるのバレて
カノジョにふられた

それとも
オレが草薙のこと好きで
カノジョをふった」



深瀬が私を?



「え!そんなわけ…
そーゆー冗談やめてって…」



冗談でも変な汗かくよ



「別れた理由、知りたい?」



「あ、言いたくないよね
別に、無理に…」



「付き合って2年くらい経った頃
カノジョに隠し事ナシにしよう
って言われたんだ」



私が答えを選ぶ前に深瀬が話し始めた



「自分は大学卒業したら関西に帰って
結婚しなきゃいけないって

お父さんが社長で
会社を継ぐために結婚相手が決まってるって

オレ、それを聞いた時
今すぐ別れようとも思わなかったけど
すがることもなかったし
嫉妬もなかったんだ

終わりがあるのわかりながら
その後も変わりなく付き合ってた

大学卒業してすぐには
カノジョも向こうに帰らなかったけど

カノジョが向こうに帰るって言った時が
別れの時なんだ…って
割り切って付き合ってて…」



「じゃあ、カノジョが帰るって言ったの?
だから別れたんだ」



「いや…」



「じゃあ、なんで?」



「今更だけどさ
結婚相手決まってるって言われた時に
別れるのが正解だったかな?」



「正解とか、わかんないけど…」



深瀬の気持ちは
どぉだったんだろう


それこそ
ふたりにしかわかんないよ



「隠し事ナシだから
草薙と会ったことも
カノジョに隠さないでちゃんと話したんだ
元カノだった事もちゃんと話したし

カノジョもあの時のオレみたいに
嫉妬もなく
楽しそうだねって

その時
オレたちの関係ってなんなのかな?って
思ったんだ

好きだったら嫉妬するじゃん
好きだから許せないことってあるじゃん

いつか終わるんだから
お互い好きなようにしようって
ことなのかもしれないけど
この関係、いつまで続くのかな?

いつか終わるなら
もぉ終わってもいいのかな?って…」



「深瀬から、ふったってこと?」



「ふったって言うか…

草薙と会ったこと
カノジョが許した時
オレって何なのかな?って
ちょっと虚しくなった

カノジョが地元帰って結婚する話
何も言わないで付き合ってたオレも
カノジョに同じ思いさせてたのかな?」



私もあの時
同じような気持ちだったかもしれない



「私が…
私が他に好きな人できたって言った時も
深瀬、責めなかったじゃん」



あ…

深瀬は私を責めなかったのに

私、今深瀬を責めるような言い方だった



「ごめん…草薙…」



深瀬に謝られて
なんか辛くなった



あの時
他に好きな人なんていなかったし
嘘ついたのは私なのに…

深瀬の浮気は私の勘違いだったみたいなのに…



なのに
謝ってくれるんだ



あの時も
深瀬は私を許してくれた


深瀬は浮気してなかったとしても
私をそんなに好きじゃなかったのかな



いろいろ考えたら苦しくなった



「私、眠くなってきたかも…」



泣きそうな気がして
そう言った


都合よすぎる、私



「うん、寝てもいいよ」



深瀬
優しすぎる



「うん…」



「草薙、寒くない?」



深瀬の優しい声
いつも心地よくて安心する



「うん…
ゴメン…深瀬…
ホントに、寝ちゃうかも…」



「いいよ、オレも寝るから…」



「ごめんね…つまらない休日で…」



「そんなことないけど…

あのさ
ひとつだけ言わせて…

草薙に好きな人ができて
オレが草薙責めなかったのは
草薙が幸せなら、それでいいかな…って
思ったからなんだ

好きだったから…
芭のこと好きだったから
幸せになってほしかった」



ごめん、ダメだ



息がつまった

また泣いてしまう



深瀬が私を責めなかった理由

深瀬がカノジョを責めなかった理由

カノジョが深瀬を責めなかった理由



それぞれなんとなく違うのかもしれない



でも今
深瀬が私を責めなかった理由を知って



「ごめん…
ごめんね…嘘ついてたんだ…私…」



謝るしかない


今更謝っても
仕方ないのかもしれないけど…



「嘘って…?」



「他に好きな人なんて…」



「ん…?なに?」



「深瀬の他に…
好きな人なんて…いなかった…」



「なんだ…
ただ、オレのこと嫌いで別れたかっただけ?
そんなこと、わざわざ言わなくてもいいよ

フハ…今だから笑えるけど…

優しいな…草薙って…
オレ傷付けないために嘘付いてくれたの?

ごめんね、辛かったよね」



「違う…そーじゃなくて…」



「ごめん…
オレは、嘘つけないわ

あの時も
草薙にふられた時も
草薙のこと好きだったし…

今も…好きだよ

何度嫌いって言われても
何度ふられても

草薙のこと、好きだよ

ずっと好きだったよ…芭…ごめん…」