インターハイ予選決勝戦、私たちの高校は、インターハイへの切符を掴むことができなかった。


最初から最後までお互いリードを許さず、なんと1点差の惜敗だった。


相手チームが歓声を上げて抱き合う一方、こちら側のコートに立つ選手たちはみんな泣いていた。


だけど煌くんは泣いていなかった。


喜びに沸く相手チームを呆然と眺めて立ち尽くしていた。


きっと、自責の念が大きいからだろう。


たった一点、されど一点。勝負の世界はいたってシンプルで残酷だ。


ベンチに戻った煌くんは頭にタオルをかけてしばらくじっと座って動かなかった。


いたたまれなくて抱きしめたくなった。


私は部外者だから煌くんのその痛みに寄り添う資格はないけど。


やがてベンチのメンバー全員と一緒に立ち上がった煌くんは、応援席の保護者や学校の生徒に「ありがとうございました」と声を張り上げた。


健闘を称えて盛大な拍手が贈られ、煌くんは誰よりも長く頭を下げていた。