「ゆづ、あれから大丈夫?」



今日は村田家の車で凱くんと光と一緒に会場に来た。


光は道中でも心配そうにしていて、同じ質問を何回か受けた。


さすがに光のお母さんや凱くんがいたから言えなかったけど、もう広い会場内だしいいかな。



「うん、すれちがいざまに舌打ちされるくらい」

「えっ!?がっつり被害受けてるじゃん!そういうのはすぐ言って。
現行犯じゃないととっちめられないから!」

「うーん、中学の時のいじめに比べたら大丈夫かなって」



平気だと証明するために笑ったけど、光は逆にショックを受けていた。


あれ、そんな顔させるつもりじゃなかったのに。



「ゆづ……いじめられることに慣れすぎ。それダメだよ、どうせたいしたことないとか思って遊馬にも言ってないでしょ」

「言おうと思ったけど、大事な試合を控えているから、今はやめておこうかなって」

「はあ……試合終わったら頃合い見て言いなよ。今の遊馬なら絶対力になってくれるはずだから」



光曰く、いじめに耐性があることはいけないらしい。


どうしてだろうと考えたけど、しばらくして試合が始まったから考えるのをやめた。