カレシが嫉妬を覚えたら

「煌にさ、お前は目立つから今度から部室前で待機してろって言われて」



その人はにこにこしながら間隔を縮めてきた。


パーソナルスペースを無視して、少し動けば当たりそうな距離で私と肩を並べる。


ふわりと柑橘系の香水の匂いがして、妙に緊張した。



「煌のこと待ってる?」

「違います、裏門から帰るにはここを通らなきゃいけなくて」



顔をのぞき込まれたけど、見つめ返す度胸がなくて下を向いて答える。


感じ悪かったかな。でもその人は「ふーん」と特に気にする様子なく呟いて、自分から距離を取った。



「俺、如月慧(きさらぎさとい)。煌とは中学からの付き合いなんだ」

「そうなんですね」

「柚月ちゃん、煌の彼女だったんだね」

「なんで、私のこと……」



どうして話しかけてくるのか検討がつかなかったけど、私が煌くんの彼女だって知ったから探りを入れてるんだ。


煌くんの彼女になって、敵対心をむき出しにされることが増えた。


だから如月くんにも、お前ごときがって反射的にバカにされる気がして身構えた。